畜産で働く前に身につけるマインド

畜産に初めてかかわると、マインド面でしんどくなってしまう人が多いように感じます。

やはり「ペット飼ってるから大丈夫。」という意識があるのだと思います。

今回は、畜産を始める前の心構えとして覚えておくことを3つお話しします。

  • 好きだけじゃない、仕事として考えて
  • 動物より人が好きじゃないと勤まらない
  • 頭で思ってるより「死」について、もっと考えて

入ってから後悔しないように、しっかりマインドも鍛えていきましょう。

動物好きだけではだめ

大前提として、畜産を仕事にするなら動物が好きなのが一番です。

かわいい見た目、愛くるしい仕草、それを1日中見れるなんて最高ですよね。

動物好きにはたまらないフレーズですが、ここで注意してほしいのが、これから私たちが相手にするのは経済動物です。

経済動物とは、人が食料・衣料・労働力などの利益を得るために飼養する動物のこと。牛、豚、鶏、めん羊、山羊などが代表で、生産性や管理効率が重視されるのが特徴です。

ペットではなく、動物に仕事の要素を取り入れなければいけません。業務内容の把握、作業の効率化、経費の削減、品質向上、社内コミュニケーション、日報作成、出荷etc…

仕事である以上、収益を上げるようにしないといけません。例えば、単価を上げるならこだわりの飼料を配合して付加価値をつける。利益を上げるなら回転数を意識して効率よく運営していけるようにプログラムを組む。そして出荷しなければいけないこと。

出荷が一番抵抗があるかもしれませんね。

余談ですが、農場長時代に、一番聞かれた質問が「出荷してかわいそうじゃないですか」

出荷=殺す=かわいそう という思考みたいです。

でも私の場合、出荷=収益=給料=生きていける

私たち畜産農家は家畜がいることで生きていけるので、悲観ではなく感謝して家畜を育てる意識を持ってほしいですね。

各会社により仕事の目標は違いますので、就職したい会社がどういった思いで家畜を育てているかをきちんと理解したうえで就職先を決めるとトラブルが少ないかもしれません。

経営者の理念がブレブレだと作業員はほんと苦労します😓振り回されますからね(経験談)

動物より人が好きじゃないと無理?

よく、ヒトと関わるのが苦手なので動物業界に来ました。という人がいます。

私も80%くらいそっちの思考なのですが、これもちょっと危険です。

結論から言うと、人嫌いは畜産には向きません。

畜産はチームワークが重要になります。作業の分担で一人になることはありますが、飼育者間で密なコミュニケーションをとらないと仕事はうまくいかないし、経営者と目標を共有しないといい家畜ができません。

私の経験上ですが、同僚には動物、畜産業が好きじゃない人がいます…

就職の理由は人それぞれなのですが、なんでこの仕事してるの??って人もいました。

やはりそういう人を見たり、一緒に仕事をするとモチベーションが下がります。

日々の観察報告、業務内容の確認、進捗状況の共有、品質改善の目標設定など。これを先ほどいった動物が好きじゃない人と情報共有しないといけないのです。

もちろん嫌な先輩もいますし、感情的な農場長もいますし、ディスコミュニケーションな同僚もいます。

その人たちに積極的にコミュニケーションをとり、仕事内容を共有して潤滑油にならないと仕事はいい方向に向きません。これが本当に難しい。

なので、ある程度はコミュニケーションをとりあえる関係をつくれるスキルを持ちましょう。私はこれを会得するのに13年ほどかかってしまったので、皆さんにはもっと早く習得して畜産で嫌な思いをしないでもらいたいです。

死や病気は日常的。

当たり前ですが家畜は死にます。病気になります。けがをします。

私も今まで何頭の動物の死を見てきたかわかりません。何頭病気で助けられなかった子がいたかも把握できません。

あくまで家畜は経済動物。1頭が死んでも他の多数を育てないといけないし、作業もあるから悲しんでもいられない。病気やけがをして収益の見込みがなければ淘汰されるのが当たり前な世界。

好きだけではやっていけない一番の理由かもしれません。

自分は何もできないのに目の前でどんどん衰弱していく命。本当につらい思いをします。

でも、私は死んだ子がいることで改善案があるんだと思うようにしています。しゃべれない動物が「死」という言葉で私たちに教えてくれてるのです。結果には原因があります。家畜が死ぬということはなにか原因があるはずです。

喧嘩?飼料不足?感染症?飼育環境?遺伝?早期発見の見逃し?

あらゆる事象が絡み合った結果が「死」という形で現れたのでそれを追求しないといけません。

群管理の改善、飼料プログラムの見直し、消毒の徹底、畜舎掃除の徹底、母体の状態把握、日常観察の強化。

これらをすべてやって次同じように死ぬのを防がないといけません。そうしないと死の連鎖は続き、「死」を表現してくれた子に失礼です。つらいですが、そこから学び、いい家畜を育てていきましょう。

まとめ

今回は畜産を始める前に見てほしい、マインド準備を話しました。

畜産は動物が好きなだけでは務まらず、相手はペットではなく収益を生む経済動物です。出荷や効率化など“仕事としての視点”が必須で、チームでのコミュニケーション能力も重要です。

また病気や死と日常的に向き合い、原因を追究して改善につなげる姿勢が求められます。感情だけでなく責任感と観察力が試される仕事です。

生き物をを扱うため、罪悪感などマインドへのダメージが大きくなりがちです。

せっかく好きな仕事につけてもマインド面でやめてしまうのは業界から見ても損失です。

心の準備をして長く畜産に携わってもらえたらうれしいです。

私が、仕事でつらい思いをしたときに読んだ本を参考までに載せておきます。この本を読んで、農場長の嫌味を耐え抜きました。

もし、嫌なことがあったら読んでみてください。心が少し落ち着きますよ。


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