守る管理から育てる管理へ|群移行とクリープの考え方

子羊が無事に7日目を迎えたら、次のステージは群管理への移行です。

個室とは違い、空間は広がり、頭数も増えるため管理の難易度は一気に上がります。

今回学ぶのは、

  • 個室から移動前のチェック項目
  • 幼稚園で確認するべきこと
  • クリープフィーディングの活用と群管理でのポイント

クリープフィーディングとは、クリープ柵と呼ばれる子羊のみが通れる柵で羊舎を仕切り、哺乳期間中の子羊に母乳を飲ませながら固形飼料の給与を行うことをいいます。

子羊の成長を促しつつ、安全を確保するための仕組みづくり。今回は、個室から群への移行とクリープ管理のポイントを整理していきます。

ここからは「全体を見ながら個体も見る」力が求められます。一緒に学んでいきましょう。

個室からの卒業

7日目くらいまで個室で母羊と子羊の管理を行います。出産後の緊張した期間を乗り越え母子ともに安定してきたら群へと移行します。

羊は群れで生活する動物です。なので子羊も羊社会を学ばなければいけません。

移動する前にチェックしておきたい点

  • 母乳を飲めているかの確認
  • 子羊の状態確認
  • 去勢と断尾
  • 内反の確認と処置
  • へその緒の確認

この項目以外でも、異常がみられる場合は移動は見送ったほうがいいでしょう。

問題なければ、群への移動を行いましょう。

まずは幼稚園から

個室からいきなり大人の羊がいる空間にいれると事故が起こりやすくなります。

まずは、幼稚園に入れてから様子を見ましょう。

ここには同じ時期に出産した親子をまとめて入れておきます。スペースにもよりますが5、6頭くらいの親子たちがいます。

ここでみること

  • 母羊が自分の子供を認識できているか。子供が自分の母親を認識できているか。
  • 他の母羊に子供が攻撃されていないか。
  • 広い空間で問題なく動けているか
  • 広い空間ではしゃいでる子羊の可愛さ

次の群移動への馴致期間になりますので、移動した日は注意してみてあげましょう。

大群へ移動、クリープフィーディング管理

小群で問題がなければ次は大群へ移動していきます。

ここでは出産した親子をまとめて管理していきます。なので羊の頭数はかなりの数になり、広さも通常の羊舎の広さになります。

といってもまだ子羊は小さくてか弱い存在です。冒頭でも説明したクリープフィーディングを利用して、母親と子羊を分けられる構造にして飼養管理を行います。

クリープフィーディングは小群管理でも使用することをお勧めします。

クリープフィーディングを使用することで、子羊に固形飼料を食べさせることもできます。これにより反芻胃の成長を促し、栄養を摂取する準備を行います。

また、ミルクを補助的に与えてる子たちの隔離や作業時の親子の隔離などにも使用できます。

注意する点は、親の餌を給餌する際に子供が親の下敷きや移動に巻き込まれてしまうことがあります。なので、給餌の際は2名体制にするか、クリープ内に子供を隔離してから給餌するなどの対応が必要です。

ここでの子羊の管理は難しい。認識した子羊がどこにいるか、わかりにくくなります。全体の視野で個体管理をしなければいけないので、異常個体の発見が遅れやすくなります。

普段以上に見回りを行い、異常個体には印をつけるなどの発見しやすい工夫も大切です。

サファリパーク時代の管理方法

サファリパーク時代に広い園内での個体管理をしていた時のやり方です。

コツとしては全体を頭の中で写真を撮るイメージです。朝昼夕と撮った全体の写真を見返し、

  • 同じ位置から全く動いていない個体
  • だいたいいる場所の把握、乾草周りに何匹くらいいるなど
  • 給餌やミルクの時のポジションの確認
  • 普段と違う違和感を感じる

100%すべてを見ることはできませんが、違和感を感じ取れるセンサーを取り付けておく必要があります。自己流ですが。

まとめ

個室管理を終え、子羊は群れの中で生きる準備を始めます。ここからは環境が一気に広がり、管理の難易度も上がります。

だからこそ重要なのが、クリープフィーディングの活用と観察力です。固形飼料の摂取を促しながら安全な空間を確保することで、成長と事故防止の両立が可能になります。

しかし大群では、個体の異常が埋もれやすくなります。全体を“写真のように”頭に焼き付け、いつもと違う位置、動き、雰囲気に気づけるかどうか。「なんとなく変だ」という感覚を磨くことが、命を守る力になります。

群管理は完璧を目指す仕事ではありません。違和感に気づき、早く動くこと。その積み重ねが、強い群れと安定した経営につながります。羊たちはしゃべりません。だからこそ、私たちが見る力を養い続けるのです。

今回は、群移行とクリープの考え方を学んでいきました。

動物を育てるには観察力が重要になります。効率のいい方法を活用しつつ、羊たちをしっかりと楽しみながら見守っていきましょう。

参考文献:めん羊・山羊技術ハンドブック

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