私の目標は山羊、めん羊を飼育することです。なのでここでは基本に返り、さらには山羊、めん羊を飼育してみたいという方に向けて、重要になる要素を3つ取り上げます。
- 食べ物、主に何を食べて生きているのか。
- 食べさせていけないもの、中毒を起こす植物。
- 過不足になりやすく見落とされやすいミネラル。
一人でも多くの山羊めん羊飼育者を増やし、この業界に貢献したいですね。山羊めん羊のためにも基礎をしっかり学んでいきましょう。
食べ物、主食になるのは粗飼料。

山羊、めん羊は草食動物で反芻を行います。つまりは草を食べて生きる動物です。
ヒトと違い、植物をエネルギー源に変換できるのが草食動物の強みです。他の動物と飼料の取り合いがおきませんから。
Q、ではなぜエネルギーの少ない植物で体を維持できるのか?
答えは、反芻です。(ざっくり)
反芻とは、胃に貯蔵した飼料を吐き戻し、咀嚼して嚥下を繰り返す行動を指します。よく口をもぐもぐしてますよね、あれです。
反芻を行い、植物をよく噛んで小さく粉砕し、微生物繁殖のために細かくしています。
急に微生物が出てきましたね。草食動物は胃に微生物をたくさん飼っていて、その微生物が作り出すエネルギーを利用してあの体を維持しているのです。
微生物の繁殖を促すためにも、大量の草を食べて生きているのです。微生物の力を借りてるんですね。
先ほどの答えを言い直すと、草を大量に胃に貯蔵し、反芻で微生物が繁殖しやすい環境を作る。その微生物が作り出すエネルギーを取り込むことができるので、草食でも体を維持することができるということになります。
イネ科植物チモシー、マメ科植物アルファルファ
草(粗飼料)といってもたくさん種類があります。主食として与えるのは、イネ科植物のチモシー、イタリアンライグラス。
たまに与えるのはマメ科植物のアルファルファ、シロツメクサ。
山羊は体重にもよりますが、チモシーを1日2~3㎏食べます。それに加えマメ科植物、さらには濃厚飼料で足りないエネルギーを補います。
逆に言えば、それくらい食べないと体を維持できないのです。ちなみに私が担当していた時の象は1日80㎏くらいあげてました。すごい量。
ちょっと深堀、栄養の基礎
タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミン
- タンパク質:筋肉などの構成成分、体調を維持するホルモン、代謝で使う酵素
- 脂質:細胞膜や核膜、神経、エネルギー源
- 炭水化物:エネルギー源
- ミネラル:Caは骨や歯の構成、NaはpHの調整、Feはヘモグロビンの成分など
- ビタミン:Aは視覚、粘膜の維持、Eは抗酸化作用、Cは解毒や抗菌作用
みなさんもよく知る5大栄養素です。これをバランスよく食べることができれば、動物は健康に成長してくれます。
特に気にするのはタンパク質です。ヒトもそうですが、タンパクが成長や健康に重要になってきます。
飼養管理者になったら、「各飼育ステージで飼料計算をして必要なエネルギー量をだし、それに見合った飼料を量り与える」ができるようにならなくてはいけません。これが大変なんですよ‥
ですが、ぜひともやってもらいたいです。大まかなベースを作り、その後自分の飼育環境に合うようカスタムしていきましょう。ミニ四駆の改造みたいな感じです😆
ここは座学になるので具体例はのせられませんが、私が自分の動物資産を持てるようになったら、実践編で紹介します。乞うご期待。
食べすぎ注意、下手したら…

山羊、めん羊を育てるのには草が大量に必要だということがわかったと思います。
Q、草なら何食べさせてもいいの?
いいえ、食べると中毒を起こす植物が存在します。
例:ツツジ、ワラビ、ジャガイモ、水仙、ヒガンバナ、アジサイ
放牧地に放牧する場合は、山羊めん羊自身が選んで食べないようにしますが、ヒトが刈り取った草は警戒心なく食べてしまうので給餌するときは注意です。
あとは、野菜のような窒素施肥量の多い植物、肥料を多量にまいた牧草にも注意が必要で硝酸塩中毒をおこす可能性があります。
硝酸中毒は血中のヘモグロビンが破壊され、窒息を起こします。放牧地で見かけたら取り除くようにしましょう。成体の突然死は硝酸中毒を起こした可能性があります。
他には、濃厚飼料(穀実のようなデンプン質飼料)を食べすぎると、胃の中のpHバランスが崩れ、微生物が少なくなってしまい、下痢を起こします。これをアシドーシスといい、脱水症状、元気がなくなります。
さらに、マメ科の植物の多量給与すると、胃にガスがたまりやすくなり、鼓張症になります。鼓張症になると血管を圧迫され循環障害、呼吸困難、食欲低下がおこあります。
草食動物においてはお腹を壊し、体調を崩し、痩せていく。痩せると感染症にかかりやすくなり、病気になり、そのまま…
大体このパターンで死亡することが多く、回復するのはすごく難しいです。獣医や大学教授の方曰く、「一番の治療法は、体調を崩させない」らしいです。
私の長い飼育経験でも、回復できたのはほんの一握りです。なのでヒトがきちんと管理して、気を付けてあげましょう。
ミネラル

意外と見落とすのが、ミネラルの過不足です。これは鉱塩ブロックで対応できます。
鉱塩って何?という方は参考までに
山羊は特にカルシウム、リン、銅などが不足しがちで、毛がパサパサ、発育不足、繁殖障害、食欲低下がみられます。
あげすぎも危険で、めん羊では銅は過剰摂取すると銅中毒を起こし、食欲不振になるので、なにごともバランスを重要視しましょう。
まとめ
山羊めん羊を飼育する。基礎編食性を紹介しました。
イメージとして草なら何でもいいと思われがちですが、山羊めん羊をしっかり育てたければ草の管理は重要になります。”草食”動物ですからね。
今回のまとめ:
山羊・めん羊は反芻によって草をエネルギーに変える草食動物で、胃の中の微生物が作り出すエネルギーを利用します。
主食はチモシーなどのイネ科牧草で、アルファルファや濃厚飼料は補助的に与えます。多くの草が必要ですが、有毒植物(ツツジ・アジサイなど)や硝酸塩の多い草は中毒の危険があります。濃厚飼料の与えすぎはアシドーシス、マメ科の過剰は鼓張症を招きます。
またミネラル不足(特にCa・P・Cu)は発育不良を起こすため、鉱塩でバランスを補うことが重要です。適切な管理が健康維持の鍵です。
このシリーズを書き上げることができれば山羊めん羊の飼育ハンドブックの完成です。それを参考に山羊めん羊飼育者が増えてくれたらうれしいですね。
第1弾。11月21日作成。


コメント