1月から2月は羊の出産シーズンに入ります。
羊が出産したら行うことがいくつかあります。
それぞれ羊視点、ヒト視点で解説していきます。
羊視点
- 出産後子供の体をなめて体を乾かしてあげる。低体温の危険回避
- 初乳をあげる。免疫力上昇
- 後産を食べる。外敵からの発見防止
ヒト視点
- 子供が息をしているか、母親に異常はないか(お腹にもう1頭残っていないか)
- 初乳はきちんと飲めているか。人工哺乳へ切り替えるか。
- 奇形はないか、きちんと立てるか、元気はあるか。
- 出産時間、状態、かわいさを記録しておく。
これらを解説していきます。
新しい命が生まれました。さあ落ち着いて、メェーいっぱいかわいさを楽しみましょう。
出産したら行うこと 羊視点

体をなめる
子供が無事に生まれたら、母親は羊水にまみれた体をなめて乾かしてあげます。そうしないと低体温で子供はすぐに死んでします。
なめることで子供を刺激して立たせたり、息をする手伝いにもなります。
主観になりますが、ここで親子の絆を刷り込んでいると思っています。なめることで子供のにおい、なめられることで親のにおいをしみ込ませて親子が迷子にならないように。
ニホンジカの時は、これをやらなかった親は育児放棄する傾向がありました。
初乳をあげる
子供が落ち着いて立てるようになったら初乳を与えます。
これは親が持つ免疫システムを子供に分ける意味合いがあります。
初乳を飲めなかった子供は、体が虚弱になります。というか生存確率がかなり下がります。
この初乳は生後12時間以上経過すると吸収できなくなってしまうため、できるだけ早く飲ませないと意味がありません。
後産を食べる
出産後は子供のほかに後産が排出されます。これが排出されないと体の中で腐って親が死んでしまう原因にもなります。
また後産が外に残したままだと、外敵に子供がいることを教えることになります。それらの脅威から逃れるため後産を食べます。あとは出産場所からすぐに移動します。
後産は結構な大きさになるのでそれを食べている光景は心配になります。家畜の場合、後産を食べてしまうと食滞の原因にもなるんで取り上げる場合が多いです。
野生化の動物はほとんどの場合食べてしまいます。
ヒト視点

子供、母親の確認
子供が生まれたらその子が息をしているかの生存確認が必要です。
母親はぐったりしていないか、お腹に子供は残っていないかの確認。羊は単子または双子で生まれるので必要であれば手を入れて確認します。
ここであまり介入するのはよくないと考えています。前にも書きましたが親子の刷り込み期間でもあるのでヒトの存在を入れるべきではないと思います。あくまで補助する程度。
初乳の確認
初乳が出るように乳きりを行います。乳首に栓がされているのでそれを外してミルクが出るようにしてあげます。
本来子供がすることですが、この程度の補助は必要です。
あとはきちんと乳首の場所を認識して初乳を飲めているかを確認しましょう。
結構エア乳のみをしている場合があります。乳首は咥えていても飲んでいない。
音やのどの動きを見て、飲んでいるかの確認は必須です。
ここで初乳が飲めていない場合、死亡率が上がってしまうので他の子からとった初乳を与えたり、人工保育への切り替えも検討します。
子供の状態確認
出産が少し落ち着いたら、子供の状態を確認します。
- 体温確認。低体温には注意
- 奇形の有無。足が曲がっていないか、欠損部位はないか。
- 雌雄の確認
- 内反の確認
- へその緒の状態 乾いていれば問題なし
低体温の場合、死亡する可能性が高まります。口に指を入れ冷たく感じるようなら保温器の設置などの対応が必要。
子供の元気さも確認しましょう。あまり動かない、ぐったりしてる、弱弱しいなども気にしましょう。
内反とは下瞼が瞳のほうに巻き込んでいる状態をいいます。まつげが眼球を傷つけ、最悪失明の可能性もあるので注意が必要です。
へその緒は出産時に切れることがあるが、切れてない場合は付け根から10㎝前後のくびれた部分を指で両側にしごきねじ切ります。消毒も行いましょう。
出産の記録をつけよう
出産情報を記録しておくのも重要になります。
- 出産時間、一子と二子との時間差
- 自力分娩
- 雌雄
- 母親の対応有無
- 初乳チェック
- 子供の可愛さ(重要)
記録を残しておくことで来年の出産時の対応や準備、更新時の判断材料のときに役立ちます。
こういうデータをためてまとめることが畜産での資産の一つになると考えています。出生率の上昇にもつながるので記録はきちんと残しましょう。
まとめ

羊が出産した後は、母羊と子羊の両方にとって重要な時間が始まります。
母羊は本能的に、子羊の体をなめて乾かし低体温を防ぎ、刺激を与えて呼吸や起立を促します。続いて初乳を与え、免疫力を子に引き継ぎます。また後産を食べることで外敵に出産を悟られないようにします。
一方ヒトは、子羊がきちんと呼吸しているか、母羊に異常や残仔がないかを確認します。初乳を飲めているかのチェックは特に重要で、不足があれば人工哺乳への切り替えも検討。さらに奇形や元気さを確認し、必要に応じて保温などの対応を行います。あくまでヒトは補助に徹するようにしましょう。
出産時間や頭数、初乳の状況などを記録しておくことで、次回の出産管理や育成判断に役立ちます。落ち着いて観察しつつ、新しい命の誕生をしっかり見守りましょう。
そして、親子の可愛さ、行動の愛らしさを堪能しましょう。生産者の特権です♪
参考文献:めん羊・山羊技術ハンドブック

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