クリープを使用することで母羊と子羊を分けることができるようになります。
母子を分けると固形飼料の給与が始まり、反芻獣への成長がスタート。
今回は学ぶのは、
固形飼料・水・下痢対策という視点から、「ルーメンを育てる管理」について解説します。
子羊の成長で大切なのは”しっかりとルーメンを育てられるか”です。
ミルクから固形飼料への移行期。ここでの管理がその後の成長や生産性は大きく変わります。一緒に学んでいきましょう。
固形飼料の摂取=反芻胃の発達

ヒツジを始め、反芻をする草食動物は胃を4つ持っています。
- 第1胃(ルーメン):発酵タンクの役割でエネルギー工場
- 第2胃(レチクルム):粗い飼料を第1胃に戻す選別と反芻の起点
- 第3胃(オマスム):飼料から水分やミネラルを吸収
- 第4胃(アボマスム):本来の胃の役割、ヒトの胃と同じ働き
生まれたばかりの子羊はミルクを飲むと第3胃と第4胃に送られ、消化されます。
第1胃と2胃はこのころは未発達で固形物の消化はまだできません。
出生後数日もすると母親が食べている固形飼料に興味が出始めます。真似をして口にいれたり、遊んだり。
固形飼料が胃に送られると未発達だった第1,2胃が発達していき、ルーメンを育てる段階に入ります。
生後1か月もすると固形飼料から栄養が取るようになるので、徐々に固形飼料を増やしルーメンを発達させます。
クリープを利用すると、子羊のみに飼料を与えられ、砕くとと嗜好性が増します。
水の重要性 ルーメン視点

ヒツジにとって水分の補給は脱水をふせぐだけじゃなく、ルーメンを発達させることにも使われます。
- ルーメン内の微生物の増殖、微生物が活動する環境を作る
- 固形飼料の摂取量増加、食欲が下がると胃が育たない
- 内容物の流動、水が少ないと滞留して消化不良へ
- 下痢・脱水のリスク管理、ミルクからの移行期は下痢の発生が増える
- 「水を飲める環境」が行動を作る
水分補給はミルクからも行えますが、固形飼料の摂取と母乳量の低下に伴い、水の摂取も重要な行動になります。
水は”栄養”ではないが、成長を左右する環境であるので、飼育者として整えてあげましょう。
下痢との闘い

ミルクから固形飼料への移行期に起こりやすいのが下痢。
特に子羊は下痢になると生存への影響が大きくなります。
主な原因は
- 低温ミルクの給与、母羊の乳質の悪化
- ミルク濃度の変化
- 濃厚飼料の過多
- 質の悪い乾草の給与
- 汚れた水の摂取
人口哺乳している個体はより一層の注意が必要です。
濃厚飼料を食べすぎる場合、できてきた第1胃内の微生物のバランスが崩れ消化器に影響が出ます。
飼料を食べ始めると、ものすごく食べるのでたくさん与えたくなりますが、心を鬼にして飼料給餌量は守りましょう。
体感として、この時期に下痢を経験してしまうと、高確率でヒネります。
「ひねる」とは、肥育現場で大きくならない個体のことを指します。
下痢をすると食欲が落ちる。
↓
食欲が落ちると反芻胃が育たない。
↓
反芻胃が育たないと飼料を消化吸収する能力が落ちる。
↓
消化吸収能力がないと体が大きくならない。
↓
家畜がひねる。
肉を生産する牧場でひねる個体がいるのはマイナスです。淘汰対象にもなるので子供の時の飼養管理は徹底しましょう。
意識して、強い個体を育てていければ死亡率を下げることへつながります。
まとめ

子羊の成長で大切なのは、「太らせる」ことより「ルーメンを育てる」ことです。
固形飼料の摂取によって、反芻胃が発達し、エネルギー利用が可能になります。
そのためにも水は重要で、微生物の働きや消化を支える”見えない基盤”になります。
一方でミルクからの移行期は下痢が発生しやすく、管理を誤ると発育不良(ひねる)につながります。
ミルクや飼料の量、水や環境の衛生を整え、安定した採食を維持することが重要です。
日々の観察と適切な管理を積み重ね、ルーメンをしっかり育てて強い個体づくりにつなげましょう。
参考文献:めん羊・山羊技術ハンドブック

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